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ディスペンサーの摩耗対策・高寿命化を実現
熱管理は、電子デバイスを安全で効率的よく動作するために非常に重要なプロセスです。 外部からは見えない場合が殆どですが、電動化、デジタル化、小型化のトレンドに追従し、ますます重要性を増しています。今後も、より高度なニーズが求められています。
このカタログについて
ドキュメント名 | 熱伝導性材料の最適塗布ソリューション |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 8.4Mb |
取り扱い企業 | 株式会社サンエイテック (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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熱対策に向けた様々な熱伝導性材料の最新動向について
最新式の容積移送式塗布技術で課題を解決
熱管理は、電子デバイスを安全で効率的よく動作するために非常に重要なプロセスです。 外部からは見えない場合が殆どで
すが、電動化、デジタル化、小型化のトレンドに追従し、ますます重要性を増しています。今後も、より高度なニーズが求められ
ています。
ウェアラブルデバイスや電動自動車、モバイル通信やインターネットインフラ用の機器等の製造プロセスには、それを安全に保持
するために必要な装置にも注意が払われなければなりません。
熱管理プロセスでの塗布例:
熱伝導性材料の特性とそれに関連する課題
熱管理設計において、熱伝導性材料は、主に液剤、ペースト材、接着剤などの形で適用されます。これらの材料は、「TIM」
(Thermal Interface Material)と言われています。TIM とは、電子機器の内部で発生した不要な熱を効率よく放熱す
るために部材間に挿入されます。一般的には IC(集積回路)などの発熱体とヒートスプレッダーやヒートシンクといった、2 つ以
上の放熱部品の間に挿入して結合し、熱を放散することが目的です。
熱伝導性材料には、1液性や2液性のペースト材や接着材があり、熱伝導性(W/m*K)を保証するために、セラミックや
金属の性質を含む充填材(フィラー)を含むことがあります。これらの充填材は、使用される用途、要求される導電性能、お
よびコスト要因に応じて、異なる形状とサイズで提供されます。熱伝導性材料を塗布する際、充填材は摩耗特性を示すことが
あり、使用するディスペンサーは、比較的早い段階で、摩耗が起きる場合があります。このため、セットアップ(材料、塗布装
置、プロセスパラメーター)が不適当な場合、塗布プロセスが不安定になる可能性があります。その結果、生産中断やスペアパ
ーツおよびメンテナンス費用に反映され、製造コストが増大することが考えられます。
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熱伝導性材料の安全に塗布するソリューション
熱管理の持続性と TIM のニーズの増加に伴い、熱伝導性ペーストや接着材料の取り扱いをさらに向上させるためにさまざま
なアプローチが試されています。容積移送式ディスペンサーを使用して、これらの材料を移送、塗布することは非常に有効です。
このプロセスでは、吐出材料は回転式のローターと、固定式のステーターによって完全で連続的に容積移送されます。材料のせ
んだん性への影響を抑える、安定した移送モードがあり、高い精度と繰り返し性を兼ね備えています。ローターとステーターの組
み合わせに関しては、個別のアプリケーションに合わせるためのいくつかの検討が必要です。ローターは、セラミック製や、特殊な
多層コーティングの部品を選択することで、ディスペンサーの寿命を大幅に延ばすことができます。
ステーターに関しては、摩耗性の高い材料に特に適したエラストマーが、最適な選
択になります。適切なプロセスパラメータと組み合わせることで、ディスペンサーの性
能と寿命は標準の設定と比較して何倍も向上させることができます。また、メンテ
ナンスやセットアップコストが低いため、コスト効果を最大限にすることができます。
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熱伝導性材料の最新傾向
TIM 用途の材料自体も、より優れた「熱伝導率」と「生産性」の向上に向けて、継続的に開発が進められています。
多くの場合、充填材(フィラー)の特性が大きく影響します。プラスチックナノチューブ(Carbon Nanotubes – CNT)は、
より優れた熱伝導性が特徴で、今後の開発が期待されています。CNT がランダムに配置されず、その⾧手軸が基板表面に
対して垂直に整列して密に詰め込まれており、特性がより強化されます。 垂直配向カーボンナノチューブアレイ(VANTA)
は、例えば外部(電気)フィールドを適用することによって配列されます。これに対するアプローチが、現在、世界中で研究の
対象となっています。 CNT(あるいは VANTA)が、TIM 分野に画期的な技術の進展をもたらすか、それがどの程度、いつ
頃実現するかはまだ分かりません。これらに関連する TIM 材料が今後も幅広く使用される中、それらが製造プロセスにどのよう
な課題をもたらすか常に検討する必要があります。
容積移送式塗布技術では、摩耗性の高い熱伝導材料の特性にシ
ステムを適応させること可能です。 サンエイテックが提供する
Viscotec 製品の最新技術は、将来的には、CNT ベースの TIM に
対しても、ソリューションを検討しています。
今後の展望
携帯電話プロバイダーから提供されるサービスにおいても、ウェアラブルスマートウォッチ、電動自動車など様々な製品分野で、
TIM の技術は確実に進歩し、私たちの日常生活をより便利にしています。容積移送式塗布技術は、継続的に開発される摩
耗材料への適用が可能で、TIM 材の移送および塗布プロセスに対する完全で理想的なソリューションを提供します。サンエイ
テックが提供する Viscotec 製マイクロディスペンサーは、CNT や VANTA を使用した「次世代」TIM のプロジェクトについて
も、ソリューションを探求し続けています。
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研磨性の高い材料を高精度にマイクロディスペンス
【DC コーティングローター】でエコペンが約 3 倍の⾧寿命に!
マイクロディスペンシングの用途で、正確なプロセス管理が実現できることは、容積式ディスペンサー「エコペン(eco-PEN)」の
大きな利点です。エンドレスピストンの原理の採用で、使用材料の粘度にかかわらず、多様な液剤を高精度に繰り返し塗布す
ることが可能です。
新開発のダイヤモンドコーティングローター(DC ローター)は、高い摩耗性材料の塗布プロセスにおいて、ローターやディスペン
サーの寿命を飛躍的に向上させます。ギャップフィラーなど研磨性の高い材
料に対して非常に有効です。DC ローターは、独自の多層原理に基づき、
特に高い摩耗性材料用として開発されています。ローターの表面硬度は、
従来の金属製や、硬質クロムメッキ処理ローターの表面硬度を大幅に上回
ります。VisLas ステーターと組み合わせて、摩耗性材料に最適な塗布ソリ
ューションを提供します。
ギャップフィラーなど研磨性の高い液剤の安定吐出
携帯導電性ペーストや研磨性の高い材料を塗布または充填する用途は、早期に摩耗が起きる可能性があり、既存のディスペ
ンサーの耐久性にとって大きな課題でした。
DC ローターは、標準のエコペン搭載ローターの 2~3 倍のライフの延⾧が可能です。従来のエコペンに搭載できるため、利便
性が向上し、塗布プロセスの信頼性の向上、スペア部品の圧縮によるコスト削減、組立時間やメンテナンスなどのダウンタイム
の削減を実現します。
主な特徴は以下の通りです。
• 容積移送式塗布装置によるプロセス信頼性の向上
• 交換部品の必要性が軽減しコストが削減
• セットアップ時間やダウンタイムを軽減
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硬質クロム製ローターの材料変色の問題を解決
塗布材料の中には、従来の硬質クロムローターを使用したディスペンサーを使用して、材料の変色が指摘されることがあります。
これは、摩耗によるものではなく、ローターの硬クロム層と材料成分の一部が反応するに起因します。特殊な多層コーティング処
理をしている DC ローターではこの問題を取り除くことができます。
120 時間高摩耗性材料を吐出後、標準ローター(右側)は、時間経過とと
もに摩耗の兆候。
一部の材料では、標準の硬クロムローターで変色が発生。
高摩耗性材料塗布の最適化ソリューション
DC ローターは、熱管理に関するニーズが増加する中で、電子部品へのマイクロディスペンスに最適な製品です。ギャップフィラー
などの高摩耗性材料を高精度に、正確に繰り返し吐出するディスペンサーの採用で、高品質で信頼性の高いプロセスを構築す
ることが可能です。DC ローターと容積移送式ディスペンサー「エコペン」の組み合わせで、微少量塗布アプリケーションに最適な
ソリューションを提供します:
▪ 化学反応性のある材料でも安定吐出
▪ 装置の⾧寿命化、及びメンテナンス間隔が延⾧
▪ スペアパーツの軽減でコストを大幅削減
▪ 既存の標準エコペン(eco-PEN)にそのまま使用可能