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産業用カメラを使用するに当たり、様々なレンズ知識をご紹介
反射率の高い被写体の撮影において、光源からの光が「光沢(グレア)」、あるいは「てかり」として画像へ映り込み、画像処理に支障をきたす場合があります。対策として偏光板が使われますが、その理由について光の反射と偏光の観点から解りやすく解説した資料になります。
このカタログについて
ドキュメント名 | マシンビジョンにおける光の反射と偏光について |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 478.7Kb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | 東芝テリー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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WHITWEH IPTEA PAEPERR
4-7-1, Asahigaoka, Hino, Tokyo 191-0065, Japan
マシンビジョンにおける
光の反射と偏光について
反射率の高い被写体の撮影において,光源からの光が“光沢(グレア)”,あるいは“てかり”として画像へ映り込み,画像
処理に支障を来す場合が多いものと思います。
このような場合,対策として偏光板を使用することが一般的に行われていますが,なぜ有害となる光沢部のみ反射光が消え
るのでしょうか?ここでは光の反射と偏光について解りやすく説明いたします。
光の反射
カメラを使って画像を得るためには,撮影レンズにより物体からの光を撮像センサー上に像として結ぶ必要があります。反射
照明の場合,光源からの光が被写体で反射することで,いわゆる二次光源として物体から光が放たれ,その光をレンズに
より集光・結像しています。ここでは被写体での反射の様子について確認したいと思います。
正反射(鏡面反射)と拡散反射(乱反射)
入射光 反射光
光源から被写体に入射した光は,被写体の表面で反射されます。このとき,一方向から 入射角 反射角
の光が別の一方向に反射されて出て行く際に,”反射の法則”通り,光の入射角と反射
角とが反射面に対して同じ角度となる状態を“正反射”,あるいは“鏡面反射”と云います。
これに対し入射光が様々な方向に反射されることを“拡散反射”,あるいは“乱反射”と云
鏡面
います1。鏡などの良く磨かれた表面ではほとんど完全な正反射となりますが,表面が平坦
正反射
ではなかったり,ざらざらだったりすると拡散反射となります。
入射光
目視やカメラによる画像では,正反射の場合は光源そのものを見るように強い光として感
じられますが,拡散反射では入射光が様々な角度で反射するため,光源自体が明確に 拡散反射光
判りません。目に見える物体は,その殆どが照明光の一部を拡散反射しているため,見
る位置を変えても様子が変わらずに見えます。また物体表面の“光沢(グレア)”や“てか
拡散面
り”,“艶”は,拡散反射に対して正反射の割合が大きいときに感じます。 (一般の物体)
拡散反射
1 “直接光”と“散乱光”という使い方も見受けられますが,直接光は間接光と対になる用語であり,また散乱光は光の”散乱”現象での用語として使用
されることから,混同を避ける意味でここでは正反射光(鏡面反射光)と拡散反射光(乱反射光)を用います。また“明視野照明”,及び“暗視
野照明”という照明用語がありますが,“明視野照明”とは被写体表面で正反射させた場合,正反射光が撮影画像に映る位置関係での照明法を
云い,“暗視野照明”とは正反射光はレンズに入らず,拡散反射光のみが撮影画像に映る位置関係での照明法を云います。
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WHITE PAPER
反射光の色
一般に,被写体の“色”は物体の色材層内からの“拡散反射光”によって生じるもので,“光沢”は被写体表面からの
“正反射光”によって生じると云われています。よって正反射による光源の映り込み部は,被写体の色(分光反射特性)
は反映されず光源の色がそのまま撮像されることになり,光源色が白色の場合は “光沢(グレア)”や“てかり”の色は
白色となります。
偏光
偏光状態と偏光板
“偏光”とは,電磁波である光の横波(電場,及び磁場)が特定の方向にのみ振動する光のことです。偏光に規則
性が無い場合を“非偏光”,あるいは“自然光”と云います。 普通の光は,あらゆる方向に振動している光が混合して
おり,偏光と非偏光の中間の状態(部分偏光)にあります。
偏光状態には,電場の振動方向が一定である“直線偏光”と,光の伝播により振動方向が変化する“円偏光”,及
び“楕円偏光”があります。
“偏光板”は特定方向に偏光した光だけを通過させる光学フィルターであり,非偏光の光から特定方向の偏光のみを
選択することもできます。
入射光
正反射光と拡散反射光の偏光状態 (直線偏光) 正反射光
(直線偏光)
光が正反射する場合は,入射光の偏光が維持された状態で反射されますので,入射
光が直線偏光であれば反射光も直線偏光となります。また光が拡散反射する場合は,
拡散反射光
入射光が様々な方向に反射されたり,物体に吸収・再放射されたりするため,入射光 (非偏光)
が直線偏光でも反射光は非偏光となります。
反射面
光源の映り込みに対する偏光板の効果
偏光板の配置と効果
被写体からの反射光の偏光特性を利用し,光学系内に偏光板を入れることで,光源の映り込みによる有害な“光沢
(グレア)”,あるいは“てかり”を除去・軽減することができます。この場合,偏光板は光源とレンズの各々に,偏光軸
を 90°に直交させ配置します2。この光学配置により,被写体での正反射光(直線偏光)による光源の映り込みは
除かれ,拡散反射光(非偏光)のみカメラに到達することで良好に撮影することができます。
非偏光 カメラ
光源 二つの偏光板(偏光子と検光子)は
レンズ
直線偏光 偏光軸を 90°に直交させて配置します。
正反射光 この場合,直線偏光のみだと,何も映
偏光板 非偏光(拡散光)
偏光板 りません。
(偏光子) のみカメラへ
(検光子)
入射光
拡散反射光
直線偏光
非偏光
被写体
2 被写体がガラスやアクリル板,水面など金属以外の場合,光源と反射面との入射角度によっては反射光が直線偏光(s 偏光)のみとなり,レンズ
側の偏光板だけで光源の映り込みを除去・軽減できることもあります。なおこの入射角度を“ブリュースター角”といいます。
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