2024年3月1日時点で、Windowsは次の製品系統が展開されている。Windows NT系 - 1993年に登場したWindows NT 3.1を始めとする系統。マイクロカーネルの採用により多様なアーキテクチャのCPUへの移植が容易なことと、高い信頼性が特徴。ただしWindows 10はx86とx64、Windows 10 MobileはARMのみ、Windows Server 2012はx64のみに対応する。Windows 11 Home / Pro / Enterprise - パーソナルコンピュータ用。Windows 11 Pro For WorkStations - Proを基本にセキュリティを強化。ちなみに、一般的な個人ユーザーもProからそのまま有償でアップグレードすることができる。Intel XeonプロセッサやAMD EPYCプロセッサなどに使われる。Windows 10 Home / Pro / Enterprise / S - パーソナルコンピュータ用。Windows 10 Mobile - スマートフォン専用で、OS単体では販売されていない。Windows Phone 8.1の後継。現在はサポート終了済み。Windows 10 IoT - IoT組み込みシステム用。Windows CEの後継。Windows 10 Pro For WorkStations - Proを基本にセキュリティを強化。先述のWindows 11 Pro For WorkStations同様、一般的な個人ユーザーもProからそのまま有償でアップグレードすることができる。Intel XeonプロセッサやAMD EPYCプロセッサなどに使われる。Windows Server 2022 Standard / Datacenter / Essentials - サーバ用。Windows Server 2019 Standard / Datacenter - サーバ用。Windows HPC Server - スーパーコンピュータに特化。
過去の製品
Windows 3.x - MS-DOS上で起動する16ビットWindows。Win32sを使用することで一部の32ビットアプリケーションを動かすことも出来た。Windows 9x系 - Windows 3.1の後継で32ビット化された。Windows Meを最後にWindows XPなどのWindows NT系に一本化され、全開発・サポートが終了した。Windows Mobile - Windows CEをベースにしたモバイル用OS。Windows Phoneの前身。Windows Phone - スマートフォン用OS。Windows 10 Mobileに引き継がれ、現在は開発を終了している。Windows CE(または、Windows Embedded Compact) - 組み込みシステム用。Windows 10 IoTに引き継がれた。
NTは高可用性が要求されるビジネス向けの市場のためにリリースされた。Windows 9xの開発の終了により、9xの役割も要求されるようになった。最初にリリースされたWindows NT 3.1から、NT3.5(1994年)、NT3.51(1995年)、NT4.0(1996年)と、ほぼ1年ごとにリリースされた。2000年にWindows 2000がリリースされ、NTが消費者用としても以前に比べて採用されるようになった。2001年に消費者向けの用意された初めてのNTカーネル搭載のOSであるWindows XPがリリースされた。2003年にWindows Server 2003がリリースされた。それまでマイクロソフトはセキュリティ問題を軽視していたことで社会問題へと発展し、その回答として見た目などは変えずに全面的に作り直したWindows XP Service Pack 2を提供することになった。Windows XP Service Pack 2の開発と、1994年から利用していた内部システムの全面刷新に手間取り、それまで2、3年間隔で発売していたWindowsだったが、Windows XPの発売から5年が経過した2006年にWindows Vistaがリリースされた。2008年にWindows Server 2008がリリースされた。その後もXPは消費者を中心に人気を博し、Windows 10がリリースされた後でも利用者が増えたが、その6ヶ月後、XPのシェアはようやく10に追い抜かれた。NTのGUIは、同時期にリリースされた消費者向けのWindowsと似たインタフェースを採用した。NTは用途や要求に対応するエディションが複数あり、Windows XPでは以前に比べて一気に増えた。
64ビットオペレーティングシステム
Windows NT 3.1からNT 4.0まで対応していた、PowerPCやDEC Alpha、MIPS R4000は64ビットプロセッサとしても使用できたが、NTは32ビットプロセッサとして使用した。64ビット用も存在したが、出荷されなかった。本格的に64ビットに対応したのは、Intel Itaniumからであり、Windows XP 64-Bit EditionとWindows Server 2003 for Itanium-based Systemが出荷された。これは主にサーバと高度な性能のワークステーション向けのリリースであり、それ以外は64ビットプラットフォームはなかった。しかし、AMD x86-64 が発表されると一般ユーザーが容易に64ビットに移行できる基礎環境が整い、OS単体での販売は行われなかったものの2005年にWindows XP Professional x64 EditionとWindows Server 2003 x64 Editionsがリリースされた。x64に対応したことにより、ワークステーションとしてItaniumをサポートしていたWindows XP 64-Bit Editionは一切の対応を終了した。Windows Vistaでは64ビットに本格的に移行するためにそれまで一部に限られた出荷から、ユーザーのオーダーに応じた64ビットのディスクの送付、パッケージへの32ビット用と64ビット用の同時封入といった対応が始まった。サーバーエディションは32ビット版の提供がWindows Server 2008を最後に終わり、Windows Server 2008 R2からは64ビット版のみ提供されている。クライアントエディションでは32ビット版の提供はWindows 10で終わり、Windows 11では64ビット版のみ提供されている。
Windows CE
Windows CEは主に組み込み用途を中心とした用途で使用されており、モバイル端末やカーナビゲーションシステム、セガ製ゲーム機のドリームキャストで採用されている。2020年までは、電子辞書Brainなどにも搭載されている。
また、Windowsにセキュリティホールが多発する理由に、Windows APIの設計の問題がある。Windows APIはオブジェクト指向を取り入れて、カーネル側オブジェクトを保持している構造体やクラスのアドレスをハンドル値とし、ユーザープロセスに渡す。このため、ユーザーAPIから渡されたハンドル値が不正だったり、別のオブジェクトを指すハンドルにすり替えたりしてしまうと、保護されたカーネル空間というセキュリティを突破して、不正なアクセスをカーネル側で実行させることができてしまう。この問題はWindows NT 4.0の時代にあらゆるAPIで存在し得ることが発覚し、カーネル空間以外の場所に存在するオブジェクトを参照しないようセキュリティ修正が加えられた。
Windows Vistaでは、当初Windows APIに替わる新API、WinFXを中心に据えようという目論見がなされていた。これはWindows APIが持つ欠点を解消する最も確実な手段と言える。しかし、この計画はユーザー側の賛同を得られず、マイクロソフトは撤回した。その代わり、Security Development LifecycleプロセスでWindows APIの弱点を洗い出して手当たり次第修正し、さらにWin32kやNTカーネルに組み込まれていたモジュールを切り離し、ユーザ空間で動作するWindowsサービスモジュールにすることでWindows APIの根本的な弱点を封じ込める修正を行った。この改修の成果は、Windows Vista発売以後、Windows Updateで提供された修正モジュールがWindows XPよりも少ないという形で現れている。なお、Windows APIに替わるという計画はなくなったものの、WinFXは.NET Framework 3.0 としてWindows Vistaに搭載されている。
また、Windows XP SP2には「Microsoft Windows XP Service Pack 2セキュリティ強化機能搭載」という正式名称が付けられている。これには、マイクロソフトはセキュリティに力を入れていなかったという従来の方針を転換し、今後はセキュリティを最重要課題としてユーザーの印象を変えていくという意味合いがある。マイクロソフトは、Service Packが適用されていないバージョンのみを指す場合に「RTM (Release To Manufacturing)」や「Gold」と表記する。
Sモード
Windows 10と11にはSモードという動作バージョンが存在する。Microsoft Storeでしかアプリがインストール出来ない他、コマンドプロンプト(cmd.exe)やレジストリーエディター(regedit.exe)が開かない。
販売形態としてはWindowsを組込んだ製品を販売する業者向けのもの。ライセンス上の扱いはOEM版と同等で、実際Windows XP MCE 2005でDSP版が発売されるまで自作PC市場では全てOEM版と呼ばれていた。しかし、厳密にはDSP版はダウングレード権が無いという違いがある。販売段階でなんらかの部品の付属品として購入する形態になっており、また付属品の対象にできる部品はいくつかの種類が規定されていて、その部品を組み込んだ状態でのみライセンスが有効となる。対象とした部品を破棄、あるいは破損し使用できなくなった場合、ライセンスも消滅する。