日本の卓上用カートリッジガスこんろ(通称カセットこんろ)は、1969年に岩谷産業で業界で初めて開発された卓上カセットコンロ「イワタニホースノン・カセットフー」であり、コンセプトの「ホースがなく持ち運びに便利」が話題を呼び大ヒット商品となった。その後数社から同様の商品が発売され、1991年(平成2年)7月1日に日本工業規格「カセットこんろ (JIS S S2147)」・「カセットこんろ用燃料容器 (JIS S S2148)」が制定された。しかし、カセットボンベの規格が複数規定されていたため1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災において、被災者間や救援物資においてカセットボンベが融通できない問題が発生し、規格統一の必要性が認識された。これを教訓として、1998年(平成10年)2月20日に日本工業規格「カセットこんろ (JIS S S2147)」「カセットこんろ用燃料容器 (JIS S S2148)」の改正が行われ、カセットボンベ(CB缶)の形状が一種類に規定された(→参考)。ただし旧規格の製品が現存していたり、指定品以外を使うとガス漏れが生じる製品があったり、ガスボンベによってはガスの成分の割合がわずかに異なるため部品を劣化させる恐れがある。また指定検査機関の日本ガス機器検査協会のJIA認証は、メーカーの指定品を使用した検査しか行っていないため互換性・安全性を保障できず、また生産物賠償責任保険の対象外になることから、メーカーでは指定品以外は使用を禁止している。ただしJIA認証マークがある製品同士であれば、実用上問題が生じることはほとんどない。また、アウトドア向けに販売されているカセットボンベ(OD缶)に関しては欧州規格EN 417が存在するものの実際に他社製品を使うと不具合が生じたり、キャンピングガスのような独自規格のものも存在しているため、完全には統一できていない。一般用途向けのカセットボンベ(CB缶)をアウトドア用コンロに転用する場合には、別途専用のアダプタが必要になる。逆にアウトドア向けのカセットボンベは形状の問題から、そもそもカセットコンロに接続できない場合が非常に多い。カセットこんろの規格変更、製品製造終了後もメーカーは旧式となった製品用カセットボンベを、しばらくの期間製造供給を続けたり、カセットボンベそのものの製造が終了しても、流通在庫が存在するためしばらくの期間旧製品用カセットボンベの店頭販売が継続されるため、注意が必要である。さらに、カセットボンベに形状が類似した特定用途器具用LPG燃料容器が流通しているため、誤ってカセットこんろに使用しない様に注意が必要である。カセットこんろは使用が手軽であるため、種々の誤った使用による爆発・火災などの事故も多いため、業界団体により注意喚起がなされている。液化石油ガスは品質変化が起き難いため、使用期限等が定められていないが、保管環境や期間によりカセットボンベそのものが劣化するため使用においての注意喚起がなされている。一般的には7年程度の保存が可能とされているが、保存環境次第では保存期間内でもボンベが錆びていたりする場合もあり、その場合は利用を控える方が好ましい。逆に適切に保管されている場合、10年以上の保管にも耐えうるがやはりこの場合も緊急時等でなければ使用を控えたほうが良い。なお、カセットボンベの廃棄についてはスプレー#廃棄時の注意を参照。カセットこんろは据え置き型のこんろに比べて五徳の長さが短い製品が多く、小型なべや鍋焼きセットの容器が五徳から外れガス口に落ちてしまう場合もある。小さなものを加熱する際は、必要に応じて金網などで支えるとよい。現在の液化石油ガス自体には毒性はないが、液化石油ガスをそのまま吸引すると、酸欠による中毒を起こす危険性がある。2000年代には、ガス焜炉でも調理器具を加熱する天板を拭き掃除しやすいように、ガラスコートを施されたガラストップコンロが販売されている。これはIHクッキングヒーターの「上面が平らであり拭き掃除がしやすい」というメリットをガス焜炉にも導入したものである。従来の五徳が際立ったフッ素コーティングの焜炉より、デザイン性に優れ、掃除がしやすいなど利便性が向上している。この動きにより、ガス焜炉のデザイン史も大きく進化した。業務用器具としては、IHクッキングヒーターのように天板が平らであるが加熱方式はガス燃焼式の焜炉もある。近年、省エネの点でも改良が進み熱効率が向上し調理時間がさらに早くなっている。炎の形状では外炎式と内炎式がある。内炎式の場合、炎が内側に向くため効率がよい。カートリッジガスこんろ(カセットこんろ)においても内炎式商品が製造されている。たとえばある内炎式のカートリッジガスこんろは72分間の持続時間がある。2008年10月1日「ガス事業法」および「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)」により「PSTG」または「PSLPG」マークを貼付していないガス焜炉の販売、販売目的の陳列が禁止された。中古品等についても同規制を受けるので注意が必要。また、「カセットこんろ」の名称が「カートリッジガスこんろ」に変更され、関係省庁の公示文書では変更された名称で表示されている。