焼入れされた材料を適切な温度へ再度加熱し、組織を安定化、機械的性質を改善する処理。マルテンサイト化させる焼入れの後には、ほとんど必ず行われる。鉄鋼材料の焼戻しの場合、加熱温度は最大でもオーステナイト変態点以下とするのが原則で、実際には 100–250 °C の低温焼戻しや 450–680 °C の高温焼戻しが行われる。
温度 0 °C 以下に冷やす処理。深冷処理や零下処理とも呼ばれる。主に焼入れ直後の鉄鋼材料に対して経年変化の元となる残留オーステナイトを減少させるために行う。セミオーステナイト系析出硬化型ステンレス鋼などでは、準安定オーステナイトをマルテンサイト化させるために行う。およそ −80 °C まで冷やすようなサブゼロ処理ではメタノールとドライアイスなどが冷却材として使われ、−200 °C 近くまで冷やすような場合は液体窒素が使われる。
高マンガン鋼に行われる処理で、1050–100 °C の炭化物が固溶化する温度まで加熱したのち、急冷して組織を均一なオーステナイトにする処理。水じんとも記す。
表面熱処理
高周波焼入れ
火炎焼入れ
浸炭
窒化
レーザ焼入れ
浸硼
浸硫
炉の種類
空気炉真空炉ソルトバス炉
関連項目
表面処理硬化マルテンサイト工具鋼
出典
参照文献
JIS B 6905:1995「金属製品熱処理用語」(日本産業標準調査会、経済産業省)JIS G 0201:2000「鉄鋼用語(熱処理)」(日本産業標準調査会、経済産業省)日本熱処理技術協会(編)、2013、『熱処理ガイドブック』4版、大河出版 ISBN 978-4-88661-811-5山方 三郎、2010、『図解入門 よくわかる最新熱処理技術の基本と仕組み』第2版、秀和システム ISBN 978-4-7980-2573-5大和久 重雄、2008、『熱処理技術マニュアル』増補改訂版、日本規格協会 ISBN 978-4-542-30391-1ASTM A941-10a, Standard Terminology Relating to Steel, Stainless Steel, Related Alloys, and Ferroalloys, ASTM International, West Conshohocken, PA, 2010, www.astm.org