アマ(亜麻; 学名: Linum usitatissimum)は、アマ科の一年草。ヌメゴマ(滑胡麻)、一年亜麻、アカゴマなどの異称もある。原産地はカフカス地方から中東にかけての一帯とされる。その栽培の歴史はとても古く、利用の歴史も古く(リネン#歴史も参照)、古代から中東やユーラシア大陸西域で栽培され、現在は各大陸で栽培される。亜麻には産業用だけでなく、多様な園芸種がある。茎の繊維を紡いで亜麻糸が作られ、亜麻糸を織るとリネン(亜麻布)となり、リネン製品や衣類の材料となる。種子(亜麻仁)を圧搾すると亜麻仁油(あまにゆ)が採れ、これは食材、および塗料・油彩用の油として用いられる。リンネの『植物の種』(1753年) にも記載された。日本では江戸時代に種を薬として使うために主に江戸小石川の小石川御薬園で栽培され始め、明治から昭和初期にかけては繊維生産用に北海道で広く栽培されるようになり、現在でも主に北海道で栽培されている。→#日本における亜麻
植物としての特徴
一年草。繊維を採取するために密集させて栽培しているものは、高さは平均0.9から1.2メートルほどで、茎は2.5から4ミリメートルと細く、上部で分枝する。種を採取するために栽培されているものは、それよりは背が低く、分枝がより多い。葉は互生で、先端が尖った形状。花は上部の枝の端にでき、5枚花。花の径はおよそ1.5から2 センチメートル。花の色は、通常は青系の色だが、白色やピンクのものもある。その果(実)は乾果で、5つの胞から成る。種子は長楕円形で扁平で表面が滑らかで黄褐色。
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繊維
亜麻は日本工業規格 (JIS) 上は「麻」と表記されるので、日本では亜麻の繊維と麻(大麻の繊維:ヘンプ)とが混同されることがあるが、両者はまったく異なる植物種であり、繊維も大きく異なり、亜麻は一般に大麻よりも柔らかい繊維とされる。亜麻の茎の繊維を紡ぐと亜麻糸ができ、その亜麻糸を織ると通気性・吸湿性に優れて肌触りが良いリネン(亜麻布)となり、それを使っていわゆる「リネン類」を作ることもでき、服を作ると高級な衣類となる。(一方、麻は亜麻より繊維が硬く肌触りが悪いので、世界的に言うと、主に縄や麻袋などに使い、衣類としては庶民的な繊維とみなされる。ただし日本では、上質な亜麻布が無かった為なのか、麻布でも上布のように"上質"と見なされたことはある。)亜麻繊維は強靭なので、テントや帆布としても利用された。大航海時代の帆船のセイル(帆)はアマの織布である。なお、亜麻の繊維を紡いでつくる亜麻糸を、英語で古くはライン(line) といい、亜麻糸が細くて丈夫なのでlineは「線・筋」を意味する英単語になった。フランス語ではラン(仏: lin)と言い、ランジェリーはアマの高級繊維を使用した女性の下着に由来する。