オペアンプ(operational amplifier,オペレーショナル・アンプリファイア)は、非反転入力端子(+)と反転入力端子(-)と、1つの出力端子を備えた増幅器の電子回路モジュールである。日本語では演算増幅器という。OPアンプなどと書かれることもある。増幅回路、コンパレータ、積分回路、発振回路など様々な用途に応用可能である。
概要
オペアンプは2つの入力間の電位差によって動作する差動増幅回路で、裸電圧利得は10
4倍から10
5倍と非常に高く、負帰還回路と組み合わせて適切な利得と動作を設定して用いる。回路構成は一般的に、正負入力を持つ差動入力段、中間増幅段、負荷を駆動する出力段に分かれる。演算増幅器の名称は、かつて自動制御機能などを電子回路で実現する際、微積分・比較・加算・減算などをアナログ演算によって行うために開発されたことに由来する。なお、こうした演算回路を自由に組み合わせて接続し、各種リアルタイム演算ができるようにした装置をアナログコンピュータという。オペアンプは、モジュールとして考案された当初はトランジスタや真空管などの個別部品で構成され、のちに集積回路化された。
動作
オペアンプの差動入力は、非反転入力 (+) の
V+ と 反転入力 (–) の
V− から成り立つ。また、理想的なオペアンプは
差動電圧入力と呼ばれる2つの電圧のみで成り立つ。オペアンプの出力電圧
Voutは以下の式となる。
Adは開ループ増幅器の利得である。(「開ループ」(open-loop)とは出力から入力へのフィードバックループが存在しない回路である)
理論
入出力間の電圧には差動利得(オープンループゲイン)を
として次のような関係がある。
上記の関係を使って非反転増幅回路を計算する例を考える。
の左から右へ流れる電流を
とし、
の右から左へ流れる電流を
とする。この時オペアンプの入力インピーダンスは十分に大きく入力電流は無視し、出力インピーダンスは十分小さいとすると、以下の式が成り立つ。
以上より入出力間の関係は
またオペアンプの入力電圧は
となる。
が
より十分大きければ、
となる。上の式からわかることは、オペアンプの差動利得
が大きい場合の回路の利得はオペアンプの利得に関係なく抵抗の比で決まること、またオペアンプの2つの入力電圧差は0となることである。つまり、
- 差動利得が大きく入力電流が小さいオペアンプで負帰還回路を形成した場合、その回路の伝達関数はオペアンプの利得には関係なく周りの素子定数で決まり、その際オペアンプは入力電圧差が0となるように(一般的にバーチャルショートと呼ばれる)出力電圧(または出力電流)を調整するように動作する
と言えることになる。
原理
中心となる回路は定電流回路(カレントミラー)で駆動されるLong-Tailed Pair (LTP)回路である。
特性
回路理論上は、「理想オペアンプ」と呼ばれる回路を想定する。実際には理想的な特性は実現できず、たとえば以下のような値になる差動利得:10
5 ~ 10
7オーダ同相利得:10
−5オーダ入力インピーダンス:10
6~10
9Ωオーダ出力インピーダンス:10
2Ωオーダ周波数帯域:数MHz~数10MHzこのほか、オペアンプが動作するため加える電源電圧を上回る入出力電圧は扱えない、入力電圧のオフセットがあり、温度により変化するなどの制約がある。しかし、こうした値が実現できれば、理想的な値からのずれを考慮しつつ所要の目的を得るように回路を設計することが可能である。オペアンプICは入出力の機能や、必要とする電源、ピン配置などのパッケージングを標準化したものが多いので、設計作業の効率化に役立つ。またオペアンプICは、複数のオペアンプ回路を内蔵したものも広く普及している。
回路例
増幅回路
定常状態では、+と-の入力端子の電圧が等しいか、入力端子に流れ込む電流がゼロとして、入力電圧と出力電圧の関係を導く事が出来る。
- 例:非反転増幅回路で、 を で解くと下記項目にある式が得られる。
+と-の入力端子の電圧が常に等しい(バーチャルショートと称する)ので、+入力端子が接地されている場合は、-入力端子が接地されているとして、-入力端子に接続されている信号入力の入力インピーダンスを求める事が出来る。
もっと見る
閉じる
オペアンプ
(http://ja.wikipedia.org/)より引用