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照明/光源

照明(しょうめい、英: lighting)とは、光で照らして明るくすること。光を発して光を利用する技術。人工照明によって物を見やすくする技術。舞台芸術、映画撮影、写真撮影などで、照明プランを作り、照明機材の設置や操作を行うこと。またはその職業。「ライティング」と呼ばれることもある。

概説

照明は、ランプ、アーク灯、白熱電球、蛍光灯、LEDなど、多種多様な照明器具が発する光(人工光)によるものを指す。カーテンやブラインドによって外光を遮ったり、照明器具によって発せられる光の強さや方向を調節することを調光という。広義には自然光(太陽光や月光)の利用も含めて照明と呼ぶ。良い照明というのは、場面ごとにことなるが、おおむね、適切な照度・輝度(明るすぎず、暗すぎず)、適度な明るさの対比、適切な色彩(演色性、色温度)、見る人の視野に明るすぎる光源が入らないこと(グレア)、見る人の視野の中に不愉快な反射が無いことなどの条件が挙げられる。照明を行う場所によって、屋外照明、屋内照明、施設照明、店舗照明、舞台照明、水中照明などと分類することがある。また、照明を行う目的によって、作業照明、展示照明、ムード照明、防犯照明、景観照明などと分類することもある。照明をデザインする職業としては照明デザイナー(ライティングデザイナー、撮影監督)がある。

歴史

石器時代・先史時代
たき火、松明(たいまつ)など。
古代
古代では、屋外ではかがり火、松明など、屋内ではオイルランプによる照明が主流だった。植物油をランプに入れて、とがった口から「こより」や「紐」状の芯を差し込んで点灯する。芯の太さで炎の大きさ、明るさが変わる。消灯は芯の先端を単純に吹き消す。植物油は、植物を絞って得ることができ調達が比較的容易であり、匂いもあまり気にならず、扱いやすい。地中海世界ではオリーブの栽培がさかんであったのでオリーブオイルの調達が容易であった。
現代でも使われている地域がある。
ろうそくは古代にも存在したが、コストがオイルランプに比べて高くなりがちであった。
中世 - ルネサンス期
ひきつづき屋外では松明、屋内ではオイルランプなど。ヨーロッパでは中世あたりからろうそくも普及した。
日本の中世や江戸時代
日本では野外では松明、灯籠、提灯(ちょうちん)は庭園でも玄関でも屋外を移動する時でも使われた。屋内では行灯やろうそくなど。
近代
ランプの風除けにガラスが用いられるようになった。また、ガスを利用したガス灯なども利用されるようになった。
19世紀
アーク灯が、19世紀初頭(に使われ始めた。白熱電球が1860年にジョゼフ・スワンにより発明された。ただしスワンの電球はフィラメントの経が4mmもあり様々な難があり、普及するものではなかった。後から電球の研究に参入したトーマス・エジソンは、さまざまな素材のフィラメントを試し、連続1,000時間を超える点灯にも成功し、1879年や1880年に特許を取得し、本格的な商用化と大量生産とを実現し、世界中に広まっていった。
20世紀
蛍光灯は、1938年に実用化された。はじめは、高価だったため軍用のみに使用された。1950年代以降は一般家庭でも一部で使用されるようになった。
1980年代以降
蛍光灯の他、施設や店舗用では発光効率の高いHIDランプなどが使用されるようになった。
2010年代以降
新たな照明として、施設や家庭などで白熱電球に比べて環境負荷が少なく発光効率の高いLED照明が使用されるようになり、蛍光灯は一般照明としての使用はかなり控えられるようになっている。

照明の世代

照明業界では、歴史上主流となった照明の種類を次のように世代という言葉で表している。第1世代 - 火(焚き火・松明・オイルランプ・ろうそく・ガス灯など)第2世代 - 白熱電球第3世代 - 蛍光灯第4世代 - LED約60年ごとに大きな発明があった。1879年には白熱電球が、1938年には蛍光灯が、そして1996年には現在のLED照明の原型となる白色LEDが誕生している。他にも電気照明として、アーク灯、水銀灯、ナトリウムランプ、無電極ランプなど様々なものがある。

照明方式の分類

光源と作業面との関係で、次の3つに分類される。
直接照明
光源からの直接光で作業面を照らすもの。一番効率が良いが、照度が不均一になりやすく、まぶしさを感じて目が疲れやすい場合がある。
間接照明
光源からの直接光を使用せず、壁面・天井面などで反射(バウンス)させてから作業面を照らすもの。効率は悪くなるが、面光源のようになるため照度を均一にしやすく、雰囲気のある照明が可能である。影の輪郭がはっきりせず、影自体も薄くなる。
半間接照明
直接光と反射光を組み合わせて作業面を照らすもの。
また、作業面と室内の他の部分との関係で次の3つに分類される。
全般照明
室内全体を均一の照度になるように、一定の間隔で照明器具を配置するもの。
局部照明
作業に必要な部分のみ照明を行うもの。省エネルギーの効果があるが、照度が不均一になるため目が疲れやすくなる。
全般局部併用照明
全般照明と局部照明を併用するもの。
他に「バックライト」と呼び、透過式のメーターや液晶ディスプレイのように、空間を明るくするのではない使い方もある。

場所・目的による分類

建築照明
家庭用室内照明
国により、夜間照明の考え方が異なる。欧米では「昼は明るいのが良く、夜は暗めが良い。それが自然だ。」と考え、夜は基本は少し暗めの部屋で過ごす。日本の大衆の家庭では、夜でも白っぽい高照度の照明が好まれる。浴室用照明 - 湯気にさらされても大丈夫なように防湿設計になっている。
街路照明、道路照明
街路照明は、歩行の安全に必要とされ、また防犯効果もある。
道路照明は車道や歩道を明るくする。適度の道路照明は事故を減らす。ランニングコスト重視で、演色性はあまり重視されない。ヨーロッパでは黄色やオレンジ色の光の照明が主流。日本では白色系が主流であるが高速道路やトンネル内ではオレンジ色も多用する。照明器具の意匠は環境にマッチしたものを使うことが多い。ランプは寿命の長い高圧放電灯を使うことが多い。
庭園照明
夜間にも観賞者がいる場合、植栽が美しく見えるように照明を当てる。器具はスポットライトや庭園灯など。防雨設計のものを用いる。