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SPDの役割や渡辺電機工業製SPDの特長をご紹介
センサ信号の伝送は今後さらに増える見込みです。それに伴って雷サージ対策、SPDの役割はますます重要になると想定されています。
計測機器の雷対策は「適切な場所」に「適切な製品」を配置することで、高い精度で雷サージから機器を保護することができます。
しっかりと対策をして機器や設備の故障を防ぎましょう。
● 目次 ●
1:雷と雷サージについて
2:SPD(避雷器)について
3:渡辺電機工業のSPDについて
4:Q&A(よくあるご質問)
5:おわりに
このカタログについて
ドキュメント名 | SPDによる計測器の雷対策 |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 5Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | 渡辺電機工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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コンテンツ
1. 雷と雷サージについて
2. SPD(避雷器)について
3. 渡辺電機工業のSPDについて
4. Q&A(よくあるご質問)
5. おわりに
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1.雷と雷サージについて
昨今の情報社会において、電子部品を多く使用した通信機器が普及していますが、様々な情報を取り入
れられる反面、落雷時のサージ侵入経路の増加による雷被害の可能性が高まっているという問題を抱え
ています。
コンピュータや電子機器などの設備や生産ラインなど、企業に与える影響は甚大です。被害の発生原因
把握とそれに対する対策をしっかりと行い、雷被害を最小限にとどめることが非常に重要です。
●雷サージとは?
雷サージとは、落雷によって電源線や通信線に発生する異常な高電圧(雷サージ電圧)と大電流(雷サージ
電流)のことを指します。雷サージによって電気機器は絶縁破壊や誤作動・劣化などの影響を受け、その
被害は数キロ先まで及ぶこともあります。
直撃雷サージのエネルギーは非常に大きく、避雷針等の建築物での対策から、SPD(避雷器)による対策と
段階的な雷サージの吸収・退避を考えていかなければなりません。
●雷サージの種類
雷サージには①直撃雷サージ、②誘導雷サージ、③逆流雷サージがあります。
以下に雷サージの種類と誘導雷サージ、逆流雷サージの発生原因について説明します。
・直撃雷サージ
雷雲に電荷が蓄積され、空気の絶縁を破壊する
電圧に達すると、雷雲と大地間で放電が起こり
ます。この時、通信線、電力線等への直接放電
によって発生する異常電圧を直撃雷サージと呼
びます。
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・誘導雷サージ
建物や木などへの直撃雷電流によって付近に強
い電磁界が生じると、電磁誘導によって近くの
通信線、電力線等に異常な電圧(雷サージ)が発
生します。それらが通信線、電力線等を通じて
建物内へ侵入する雷サージを誘導雷サージと呼
びます。
・逆流雷サージ
建物や大地などへの直撃雷により付近の接地電
位上昇が起こり、接地(アース)から逆流して
通信線、電力線等に侵入する雷サージを逆流雷
サージと呼びます。
●雷サージの侵入経路
近年はビルや工場といった産業界はもちろん、あ
らゆる所で屋内外のインターフェース部分が増え
ています。
特に信号線と電源線の配線においては屋外を経由
して引き込まれることが多く、雷サージの侵入経
路として有力です。また、屋外配線の線路が長い
ほど、雷サージの影響を受ける可能性が高くなる
ため、特に注意が必要です。
雷サージの侵入経路として主に以下の5つが挙げ
られますが、これらの侵入経路に対して適切な
SPD(避雷器)を設置することで、雷サージから機
器を守ることができます。
雷サージの主な侵入経路
1.電源線(コンセントなど)
2.通信線(電話回線やテレビ、ネット回線など)
3.アンテナ(テレビアンテナなど)
4.接地線(アース線など)
5.上記の複合経路
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2.SPD (避雷器)について
前ページよりSPDによる雷対策の必要性を記載していますが、SPDとはどのようなものなのでしょう?
SPDとはSurge Protective Device(サージ防護デバイス)の略称で、過渡的な過電圧を制限し、サージ
電流を分流することを目的としたデバイスのことを指します。
従来は避雷器、アレスタ、サージアブソーバなどと呼ばれていましたが、雷保護について制定された
JISで低圧用避雷器のことをSPDと呼ぶことで統一されています。
その役割を簡単に説明すると、「雷サージを被保護機器の絶縁レベル以下に制限して、機器の絶縁破壊
を防止するためのもの」になります。
以下はSPDありorなし時の電気機器が受ける雷サージについてを表した図です。
SPDがない場合
SPDを設置していない場合、雷サージがダイレクトに電気機器に入ります。
機器の耐電圧を超えるレベルのサージにより、電気機器の故障などの影響が懸念されます。
SPDがある場合
SPDを設置している場合、雷サージ侵入時にSPDがほぼ短絡状態となります。
電位上昇を防いで等電位化を図ることができ、電気機器を正常な状態に保つことができます。
線路と対地間の雷サージ電圧は数千~数万ボルトと非常に大きく、線間に発生する雷サージ電圧は数百
ボルトと言われています。雷被害による電気機器の破壊は、線路と対地間電圧のサージによる放電破壊
よりも線間電圧のサージによる線間破壊が多く、進入路の端子近くの半導体部品が壊れることが特徴で
す。線間破壊はサージ自体のエネルギーは大きくありませんが、サージが直接電子部品にかかるため、
機器の故障につながります。SPDを設置し、機器にかかる雷サージを吸収・抑制することが重要です。
また、SPDを選定するためは、被保護機器の定格電圧の最大値と耐電圧、および被保護機器の重要性を
考慮する必要があります。常時使用することのできる最大電圧(最大連続使用電圧:Uc)と、雷サージが
侵入したときにSPDによって制限した電圧(電圧防護レベル:Up)が、被保護機器の仕様にマッチしてい
るかが最も重要な確認箇所になります。保護機器とのマッチングが取れていないと、SPDは正常に動作
しているにも関わらず、機器が故障するといった事象が生じる可能性があります。
また、被保護機器の重要度が高いほど、SPD自体の性能(インパルス耐久性、公称放電電流:In、最大放
電電流:Imax)が高い値のものを選定することが望ましいとされています。
その他JIS規格で定義されている各項目もSPD選定時に確認すべき点になります。
次ページに選定時の基準となる代表的な仕様をまとめましたので、ご確認ください。
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●SPD選定時に確認すべき主な項目
項目(※) 内容
連続印加が可能な最大電圧の実効値または直流電圧
最大連続使用電圧 Uc
⇒設置回路の定格値以上のSPDを選定すること
電源用SPDにおいて、15回以上耐える事ができるサージ電流の波高値
公称放電電流(8/20μs) In
⇒SPDがどのレベルのサージまで耐えられるか
電源用SPDにおいて、耐える事ができるサージ電流の波高値
最大放電電流(8/20μs) Imax
⇒SPDがどのレベルのサージまで耐えられるか
通信用SPDにおいて、耐える事ができるサージ電流の波高値。
インパルス耐久性 カテゴリC2は8/20μs波形で10回、カテゴリD1試験は10/350μs波形で2回印加。
⇒SPDがどのレベルのサージまで耐えられるか
SPDの端子間に発生する制限電圧の最大値。
電圧防護レベル Up 電源用SPDはIn印加時の発生電圧、通信用SPDはカテゴリC2印加時の発生電圧。
⇒被保護機器の耐電圧以下のSPDを選定すること
MOV(バリスタ)が動作を開始する電圧
動作開始電圧
⇒被保護機器の耐電圧以下のSPDを選定すること
GDT(ギャップ)が放電を開始する電圧
放電開始電圧
⇒被保護機器の耐電圧以下のSPDを選定すること
JIS規格で規定している試験方法の分類
試験クラス ⇒主に直撃雷用・・・クラスⅠ(電源用)、カテゴリD1(通信・信号用)など
主に誘導雷用・・・クラスⅡ(電源用)、カテゴリC2(通信・信号用)など
上記の表にて、SPDの「試験クラス」という項目を記載しました。JISの規格によって試験方法が定め
られており、電源用と通信・信号用で試験が分かれています。直撃雷を想定した波形(10/350µs)と誘導
雷を想定した(8/20µs)を定め、共通の試験項目とすることにより、機種選定はもちろんのこと、SPD
の性能評価の指標としても使える項目となっています。
電源用SPDにおいて、直撃雷が入る可能性がある電源引込口にはクラスⅠ対応のSPDを、誘導雷が侵入
する可能性がある屋内分電盤などにはクラスⅡ対応のSPDを設置することで全体的な雷対策を施すこと
ができるようになります。
通信・信号回線では誘導雷の被害が大半であるため、カテゴリC2試験が性能試験で多く実施されていま
す。規定された電圧・電流値に対しての試験条件(印加回数)の比較を、SPDの性能比較とすることも多
く見られます。通信・信号用SPDは複数試験を組み合わせて多面的な評価をしている製品も多いです。
例えば当社のDC4~20mA用SPD「WPD-A20」はカテゴリC2およびD1での評価を実施しています。
●電源用SPDの試験クラス
クラス 試験波形 設置場所例
クラスⅠ 電流波形(10/350µs) 電力引込口など
屋内分電盤
クラスⅡ 電流波形(8/20µs)
屋内制御盤など
クラスⅢ コンビネーション波形 電子機器の近く
●通信・信号用SPDの主な試験クラス
カテゴリ 試験の種類 開回路電圧 短絡路電流 最小印加回数
0.5kVまたは1kV 0.25 kA∼1kA未満
C1 300
1.2/50 8/20
早い 2kV∼10kV 1kA∼5 kA
C2 10
上昇率 1.2/50 8/20
1kV 以上 10A∼100A
C3 300
1kV/μs 10/1000
0.5kA∼2.5kA
D1 1kV以上 2
高い 10/350
エネルギー 0.6kA∼2.0kA
D2 1kV以上 5
10/250
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●JIS規格の改定
JIS規格は、IECの規格を翻訳した形で整備されてきていますが、最近では、電源用向けに2011年制定
のIEC 61643-11を基にJIS C 5381-11:2014が、信号用向けに2009年制定のIEC 61643-21を基にし
てJIS C 5381-21:2014がそれぞれ制定されました。電源用、信号用どちらも2004年以来の約10年ぶ
りの改定となっています。
この改定で新たに電源用SPDにおいて、安全性向上のための新規試験項目が追加されました。これは、
SPDが故障して短絡モードに至った場合、安全かつ速やかに電源線から切り離す要求であり、現段階で
はSPD単体で処理することができず、外部に適切な分離器を設置して対応する必要があります。
SPDの主な劣化要因として、耐量以上または多回
数の雷サージ電流処理やTOV(一時的過電圧)、ノ SPD外部分離器の設置例
イズの常時課電などが挙げられます。
これらによって劣化したSPDから発熱・発煙・発火 被保護
機器
といった現象が生じる可能性があるため、防止策
として適切な分離器が必要となっています。 外部分離器
1 2 3
内部分離器 SPD
E
ヒューズ ヒューズホルダ
FDS-20kA-NB US141 B種接地 D種接地
サージ電流耐量
形式 定格電流(A) 8/20μs 溶断I2t 定格遮断容量
(15回不溶断)
AC250V 100kA
FDS-20kA-NB 30A 20kA 14000A2s AC440V 10kA
DC125V 1.5kA
前ページでJISの試験クラスについてお話させていただきました。では、誘導雷をイメージしたカテゴ
リC2波形(8/20µs)と直撃雷をイメージしたカテゴリD1(10/350µs)はどのような波形になるのか、以
下の図に表してみました。
赤色が直撃雷を想定したもので、雷発生から10/350µsで最大電流の50%までエネルギーが半減すると
いう波形、青色が誘導雷を想定したもので、誘導雷を想定した8/20µsの波形を表したもので、直撃雷
が約25倍のエネルギー量を有しているという結果です。この図の縦軸(電流)は最大値に対しての比率
ですが、電流の実値でも~数十倍の差があるため、直撃雷と誘導雷のエネルギー量にかなりの差が
あることがわかりますね。
直撃雷対策が必要な場所には、大電流を想定したクラスⅠ対応のSPDを、誘導雷対策が必要な場所には
クラスⅡ対応のSPDの設置が適しています。
直撃雷と誘導雷のエネルギー量について
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3.渡辺電機工業のSPDについて
ここから渡辺電機工業のSPDを紹介します。電源用SPDは「WPD-PWR」のみの1機種です。
これは当社の電源用SPDの特長にもなっていますが、単相2線、単相3線、三相3線の相線区分も100V、
200Vの電圧定格も1台で賄うことができる製品となっています。撃雷地区などではSPDの保守品を在庫
していますが、1機種でカバーできれば保守品の統一・保守品の削減につながります。
また、WPD-PWRは本体前面にSPDが正常動作しているかを表示するLEDランプも搭載しています。
SPDが正常時はLEDが点灯、異常(劣化)状態だとLEDが消灯しますので、メンテナンスすべきかどうか
も一目で確認でき、常に正しい状態でSPDをご活用いただけます。
さらにJIS規格をはじめ、国土交通省が定めた設備基準や仕様書に対応していること、
5kA(8/20µs)×15回(クラスⅡ試験)という大きな放電耐量を有していることなども、当社SPDを安心し
てご使用いただける理由になっています。
<主な特長>
各種規格や仕様書に適合
・国土交通省 NETIS 登録品
・国土交通省 公共建築工事標準仕様書 適合品
・国土交通省 建築設備設計基準 適合品
・JIS C 5381-11:2014 (クラスⅡ) 対応品
劣化時の安心機能
・自動切り離し装置内蔵
・SPD機能表示LED搭載
盤内取付けが容易
・JIS協約ブレーカ寸法と同等サイズ
・DINレール取付け対応
電源ラインはこれ1台でOK
電源用SPD ・単相2線、単相3線、三相3線に対応可能
・1台で線間、対地間を保護
続いては信号用SPDと通信用SPDのご紹介です。信号用、通信用は3機種ラインアップしています。3機
種ともプラグイン形の同形状で、非常に小型で盤内にコンパクトに収納できるのが特徴です。DC4~
20mA用や3線式信号用SPDは、信号が集約される盤内にかなりの数量使用される場合があり、その際
に小型形状が大きな利点をもたらします。また、近年では信号のネットワーク化が進み、通信用SPDの
需要もかなり多くなってきています。当社はRS-485(Modbus)対応の電力計測器やリモートI/Oもライ
ンアップしていて、これらの機器はRS-485通信に対応したSPD「WPD-485」で雷対策ができるように
なっています。
また、どれだけの雷サージを吸収できるか?を表すインパルス耐久性:カテゴリC2が「10kA×10回」と
いう値となっています。他メーカのSPDでは、5kA×1回(A社)や5kA×10回(B社)になっているため、
当社SPDは耐久性、劣化しずらいという特長が数値からも確認することができます。
<主な特長>
JIS規格に対応
・JIS C 5381-21:2014対応品
必要十分な耐久性
・インパルス耐久性 C2(8/20µs):10kA×10回
D1(10/350µs):1kA×2回
盤内取付けが容易
・プラグイン、小型形状
・DINレール取付け対応
信号用SPD
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●DC4~20mA信号用SPD比較
メーカー名 渡辺電機工業 A社 B社
JIS C 5381-21:2004,2014 JIS C 5381-21:2004,2014 JIS C 5381-21:2004,2014
適合規格
カテゴリC2,D1 カテゴリC1,C2 カテゴリC2,D1
最大連続使用電圧 30.0VDC 30.0VDC 27.0VDC
直列抵抗 2.2Ω±20%(1線あたり) 20Ω±10%(往復2線) 5Ω±10%
インパルス C2(8/20µs) 10kA(10回) 5kA(1回) 5kA(10回)
耐久性 D1(10/350µs) 1kA(2回) - 2.5kA(2回)
電圧防護 L-L間 60V以下 45V以下 140V以下
レベル L-E間 400V以下 800V以下 120V以下
●3線式信号用SPD比較
メーカー名 渡辺電機工業 A社 B社
JIS C 5381-21:2004,2014 JIS C 5381-21:2004,2014 JIS C 5381-21:2004,2014
適合規格
カテゴリC2,D1 カテゴリC1,C2 カテゴリC2,D1
最大連続使用電圧 7.5VDC 6.0VDC 150.0VDC
最大負荷電流 250mA 100mA -
直列抵抗 2.2Ω±1%(1線あたり) 10Ω±1%(1線あたり) -
インパルス C2(8/20µs) 10kA(10回) 5kA(1回) 2kA(10回)
耐久性 D1(10/350µs) 1kA(2回) - 0.5kA(2回)
電圧防護 L-L間 45V以下 40V以下 1500V以下
レベル L-E間 400V以下 800V以下 1000V以下
●RS-485通信用SPD比較
メーカー名 渡辺電機工業 A社 B社
JIS C 5381-21:2004,2014 JIS C 5381-21:2004,2014
適合規格 -
カテゴリC2,D1 カテゴリC1,C2
最大連続使用電圧 18.0VDC 5.0VDC -
最大負荷電流 250mA 100mA -
直列抵抗 2.2Ω±1%(1線あたり) 4.5Ω(往復2線) -
C2(8/20µs) 10kA(10回) 5kA(1回) -
インパルス
耐久性 D1(10/350µs) 1kA(2回) - -
電圧防護 L-L間 58V以下 20V以下 -
レベル L-E間 400V以下 500V以下 -
●電源用SPD比較
メーカー名 渡辺電機工業 A社 B社
JIS C 5381-1:2004
JIS C 5381-1:2004 JIS C 5381-1:2004
適合規格 JIS C 5381-11:2014
クラスⅢ クラスⅡ
クラスⅡ
単相2線:130V・250VAC
単相2 単相2
最大連続使用電圧 単相3線:110V/220VAC 単相2線:150VAC 単相2線:255VAC
線:140VAC 線:250VAC
三相3線:250VAC
電圧防護レベル
1300V以下 400V以下 800V以下 1400V以下 2800V以下
(L-L間)
電圧防護レベル
1500V以下 800V以下 800V以下 700V以下 1400V以下
(L-E間)
5kA 1kA 1kA 5kA 20kA
放電耐量
(8/20µs・15回) (8/20µs・1回) (8/20µs・1回) (8/20µs・15回) (8/20µs・15回)
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4.Q&A(よくあるご質問)
当社にお問い合わせいただく内容の中から、主な3件をQ&Aにして以下にまとめてみました。
皆様がSPDをご使用になられる際の参考にしていただければ幸いです。
Q①:屋外との通信・配線がある盤に対してSPDを設置していますが、屋内盤屋外盤に対してもSPDは
必要なのでしょうか?
A①:屋内の盤に対してもSPDによる雷対策は必要です。
各種入出力信号、電源などの配線は屋外のケーブルピットや電線管を通す場合が多く、その線路
に雷サージが侵入することが考えられます。
また、屋内盤の2面(盤A:SPDあり、盤B:SPDなし)において、別接地になっている場合、盤Aの
SPDが動作すると盤Aと盤Bの間に大きな電位差が発生します。
盤が別接地となっている場合、屋内配線でも盤間配線にはSPDを設置することをオススメします。
Q②:SPDは一度雷サージを処理したら使えなくなりますか?
A②:SPD内部に使用しているMOV(バリスタ)やGDT(ギャップ)と呼ばれる素子は、規定の大量以下の
雷サージ電流であれば、繰り返し処理が可能です。ただし、処理を繰り返すことにより徐々に劣化
しますので、定期的なメンテナンスで状態を確認することをおすすめ致します。
また、接地線に流れた雷サージ電流をカウントする「サージカウンタ」を使用することで、SPDの
動作回数を記録できるため、SPDの効果検証や動作回数から製品交換の目安にしたりと、保守点
検の作業を効率化させることも可能です。
Q③:SPDを設置している回路の信号が異常な値になります。何が問題なのでしょうか?
A③:SPDが雷サージにより破損した場合、電源や信号電圧が低下するなどの異常が生じます。
当社のSPD(避雷器)はプラグイン形のため、ソケット部と本体を分離させることができます。
信号異常がSPDの劣化によるものであれば、本体を引き抜くと信号が正常に戻りますので、でき
るだけ早く新しいSPDと交換してください。
本体を引き抜いても正常に戻らない場合は、SPDではない他の場所に問題があると考えられます。
通電中のSPD機能表示ランプ点灯状態
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5.おわりに
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
駆け足で見てきましたが、SPDの役割や当社SPDの特長についてご理解いただけましたでしょうか?
今後の情報化社会に向けて、今後センサ信号の伝送はさらに増える見込みであり、それに伴って
雷サージ対策、SPDの役割は益々重要になると想定されています。計測機器の雷対策は、「適切な場所」
に「適切な製品」を配置することで、高い精度で雷サージから機器を保護することができますので、
しっかりと対策をして機器や設備の故障を防ぎましょう。
弊社は創業以来、電気信号の計測をベースにした製品・システムを開発し、ビル・工場・公共インフラ等、
あらゆる場面で豊富な実績を持っております。
SPDについてのご相談、計測器についてのご相談、システム全体についてのご相談などお気軽にご連絡
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今後ともよろしくお願い申し上げます。
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201612 第1版