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BACnetのシステム構築についてご紹介
省エネ・快適性・安全性など、様々なことが重要視されるビルディングオートメーションにおいて、ビル設備における監視や自動制御といったビル自動管理制御システムは、非常に重要な役割を担っています。
この冊子ではBACnetの基本的な内容をまとめてご紹介しております。
このカタログについて
| ドキュメント名 | BACnetのシステム構築 |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
| ファイルサイズ | 3Mb |
| 取り扱い企業 | 渡辺電機工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
この企業の関連カタログ
このカタログの内容
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BACnet IP BA
Cn
et
MS
/TP
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目次
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
2
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1. はじめに
省エネ・快適性・安全性など、様々なことが重要視されるビルディングオートメーシ
ョンにおいて、ビル設備における監視や自動制御といったビル自動管理制御システム
は、非常に重要な役割を担っています。
従来、日本における BACS (Building Automation and Control System) は空調・衛生・電
気・照明・防犯・防災などのサブシステムごとに各メーカーが独自の通信仕様を用いてい
ました。異なるメーカーで構築された複数システムを1つに統合するためには、専用
のインターフェース(ゲートウェイ、I・CONTなど)を開発する必要があり、イニシャ
ルコストを膨張させるとともに、運用管理を複雑にさせる原因となっていました。
さらに、システムの変更・拡張にあたっても、新築時のメーカーに依存せざるをえず、
また、専用のソフトウエアの改修には多大な期間と費用が発生してしまう事が少なく
ありませんでした。
近年、資源の有効利用や開発負担の低減、コストダウン及びエンドユーザメリットの
点から、ビルシステムは共通化・標準化へと動き出しました。また、ICTの普及やネッ
トワークに接続されるデバイスを中心に共通技術化が進み、異なるメーカー間のシス
テムの相互接続・運用が容易となり、オープン化の実現が可能となりました。
現在は、安価で信頼性が高い異なるメーカーのサブシステムでも接続できるビル自動
管理制御システムが強く求められています。各メーカーのシステムを組み合わせてビ
ル全体のシステムを構築し、一つのビルだけでなく、複数ビルの管理や地域のトータ
ルエネルギー管理などを行うことで、より効率的なビル運用に繋げることができるの
です。
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2.BACnet について
・BACnet とは
BACnet とは、異なるメーカー同士のシステムを容易に接続するためのオープンプロ
トコルで、「Building Automation and Control Networking Protocol」が正式名称です。
ビルディングネットワークの通信規格として、「ANSI/ASHRAE Standard 135-1995」が
ASHRAE( 米国冷暖房空調工業会 ) により 1995 年に制定されました。また、2003 年に
は ISO:16484-5 として BACS 及び、BACnet が国際標準規格に登録されました。照明・
空調・電力・入退室・防犯・防災システムといったビル設備がメーカー独自の仕様であっ
ても、BACnet プロトコルを介して全て接続でき、大規模なビルの監視・制御を容易に
実現することができるようになりました。
この BACnet プロトコルは大規模なビルシステムではもちろんのこと、中小規模のビ
ルや商業施設、ホテルや空港システムなどでも採用されており、現在のビル制御プロ
トコルのデファクトスタンダードとなっています。日本では電気設備学会が BACnet
2004 の仕様を日本の仕様に拡張した BACnet システムインターオペラビリティガイド
ライン (IEIEJ-G-0006) を発行しており、この仕様に則った運用が主流になっています。
クローズドシステムとオープンシステムの違い
クローズドシステム オープンシステム
中央監視 中央監視
●オープン化のメリット
メーカー間の I/F が不要!!
Ethernet BACnet IP
コントローラ コントローラ 機器の選択肢が増える!!
A社独自プロトコル BACnet MS/TP
システム自由度アップ!!
A社 /B社 A社 /C社 A社 /D社
専用 I/F 専用 I/F 専用 I/F
ユーザーメリットが高い!!
B社独自 C社独自 C社独自
プロトコル プロトコル プロトコル
B社製品 C社製品 D社製品 B社製品 C社製品 D社製品
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2.BACnet について
・BACnet IP と BACnet MS/TP の違い
BACnet IP の「IP」は Internet Protocol の略で、イーサネット上で BACnet サービスを通
信するためのプロトコルです。全てのデバイスは同格の位置づけで通信を行います。
BACnet MS/TP の「MS/TP」は Master Slave Token Passing の略で、データ伝送の物理層
は EIA-485(RS-485) を使用するプロトコルです。マスタースレーブの通信方式と、ト
ークンパッシング通信方式の 2つを組み合わせて通信を行います。
BACnet MS/TP のマスターデバイスがスレーブデバイスを制御する方式は、制御の誤
動作などのエラーが発生しにくいという利点を持っています。また、トークンパッシ
ングはトークン ( 通信権 ) が同一のネットワーク内で巡回し、トークンを取得したデ
バイスがマスターデバイスとなって、他のデバイス ( スレーブデバイス ) と通信を行
います。これにより、デバイスの通信メッセージが混信せず、高速で通信できるとい
う利点をもたらします。
従来の BACnet システムでは、サブシステム間を BACnet IP で接続するシステムが多
く採用されていましたが、現在では、サブシステム間 (BACnet IP) からフィールドシ
ステム (BACnet MS/TP) まで、システム全体に BACnet を採用する流れが主流となっ
ています。東京オリンピックに向けたビルネットワークの広域化や CO2 排出量削減
などの環境問題対応などが重要視される現在、BACnet IP と BACnet MS/TP を活用し
たビル制御やビル管理に期待が高まっています。
BACnet IP と BACnet MS/TP の違いについて
分類 BACnet IP BACnet MS/TP
通信媒体 Ethernet (UDP/IP 通信 ) ツイストペアケーブル (RS-485)
最大デバイス数 可変 ※IPv4 アドレス範囲による 32 台 ※リピータ使用で最大 255 台
最長距離 約 100m 1200m ( デイジーチェーン )
通信速度 100 / 10Mbps 9,600 ~ 115,200 bps
メリット 高速・大容量通信に対応 既存ケーブル使用で安価に構築
ネットワーク規模に制限がない セキュリティ懸念は不要
デメリット セキュリティ対策が必要 大量データの送受信には不向き
( 外部ネットワーク接続時 ) 対応機種がまだ少ない
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3. オブジェクトとプロパティ
BACnet では、デバイス (Device)、オブジェクト (Object)、プロパティ (Property) と
いう階層構造となっていて、標準オブジェクトが所有するプロパティを定義してい
ます。またオブジェクトやプロパティにアクセスしたり監視行うため、サービスと
呼ばれる様々なアプリケーションモデルも用意されています。
デバイス、オブジェクト、プロパティは以下の図のように表すことができます。
BACnet の階層構造イメージ図
Device-3
Device-2
Device-1
AI-3 BI-3 MI-3
AI-2 BI-2 MI-2
AI-1 BI-1 MI-1
Present Value Present Value Present Value
Status Flags Status Flags Status Flags
デバイス Reliability Reliability Reliability
オブジェクト Event State Event State Event State
プロパティ etc... etc... etc...
・BACnet オブジェクトとは?
BACnet では、BACnet に対応したコントローラやリモート I/O などの機器をデバイ
スと表現します。そしてこのデバイスの 1つ 1つの機能を BACnet で実現するため
に用意されているのがオブジェクトです。このオブジェクトの集まりによってビル
設備が表現され、BACnet2004 では 25 種類だったオブジェクトが、最新の BACnet
2016 では 60 種類まで拡張されました。また、IEIEJ-G-0006 では、国内の BACS 運
用に必要な電気設備関連オブジェクトも別途定義されています。
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3. オブジェクトとプロパティ
BACnet オブジェクトタイプ一覧
基本入出力関係オブジェクト 通告関係オブジェクト
Device Analog Input Analog Output Event Alert Notification Notification
Enrollment Enrollment Class Forward
Analog Value Binary Input Binary Output 入退室管理関係オブジェクト
Binary Value Multi-State Multi-State Access Zone Access Point Access Door Access User
Input Output
Multi-State Access Rights Access Credential
Value File Credential Data Input
データ処理関係オブジェクト データロギング関係オブジェクト
Averaging Loop Program Event Log Trend Log Trend Log
Multiple
データまとめ関係オブジェクト ライフ・セキュリティ関係オブジェクト
Group Groval Group Structure Life Safety Life Safety NETwork
View Point Zone Security
制御関係オブジェクト 照明制御関係オブジェクト 計量関係オブジェクト
Command Load Control Channel Lighting
Output Accumulator Pulse
Converter
スケジュール関係オブジェクト 単純バリュー関係オブジェクト
Calendar Schedule Character Data Time Large Analog Bit String Octet String
String Value Value Value Value Value
Time Value Integer Value Positive Integer
Value Data Value Data Time
Pattern Value
Time Pattern Data Pattern
Value Value
BACnet2016 追加オブジェクト
Binary Lighting Network Port Timer Elevator Group Lift Escalator
Output
電気設備関連オブジェクト
Electric Demand Electric Demand Generator Load
Monitoring Control Control
※IEIEJ-G-0006 で定義された日本向けオブジェクト
オブジェクトは正式にはオブジェクト IDとして、オブジェクトタイプとインスタンス
番号の組み合わせで表現されます。オブジェクトタイプとは、用途別に定義されたプ
ロパティの集合体で、Analog Input や Binary Input といった名称が付けられています。
信号の入出力に関連した「入出力系オブジェクト」とロギングやスケジュールといった
「機能系オブジェクト」に大別されます。
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3. オブジェクトとプロパティ
主な入出力系・機能系オブジェクトの一覧と、入出力系・機能系オブジェクトの動作
イメージを以下にまとめましたので、ご参照ください。
入出力系・機能系オブジェクト概要
温度 機器
センサー ON/OFF 入出力系 オブジェクト名 機能系 オブジェクト名
Accumulator アキュムレータ Device 装置
入出力系 Analog Input Binary Output Analog Input アナログ入力 Notification 通知
Analog Output アナログ出力 Schedule スケジュール
Analog Value アナログ値 Calendar カレンダ
Binary Input バイナリ入力 Trend Log トレンドログ
Binary Output バイナリ出力 Event Enrollment イベント登録
Binary Value バイナリ値 Group グループ
Multi State Input マルチステート入力 Loop ループ
機能系 Schedule Trend Log Multi State Output マルチステート出力 Program プログラム
Multi State Value マルチステート値 Pulse Converter パルスコンバーター
一定周期および 設定した日時に ・・・・・・・ ・・・・・・・
変化時の値を取得 操作を行う
また、これらのオブジェクトタイプを1つのデバイスで複数定義するために用意され
ているのがインスタンス番号で、各オブジェクトタイプに対してインスタンス番号
(0 ~ 4,194,303 の範囲で任意設定 ) を割り付けることにより、同じオブジェクトタイ
プでも1つのデバイスに多数のオブジェクトを定義することができます。
・BACnet プロパティとは?
プロパティは、オブジェクトの属性情報を表します。1つのオブジェクトには様々な
プロパティが用意されていて、BACnet で規定されているサービスを使用してアクセ
スすることができます。このプロパティを読み書きすることにより、設備情報の監視
と制御を行うことができるのです。また、オブジェクトに属するプロパティごとに適
合クラスが定義されていて、オブジェクトに必須なプロパティを R(Required) と表し
ます。書き込み可能な必須プロパティはW(Writable)、機能拡張用として定義されたプ
ロパティは必須ではなく、適合クラスはO(Optional) と表されます。
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3. オブジェクトとプロパティ
・オブジェクトとプロパティ
前述したように、BACnet 通信の仕組みはオブジェクトとプロパティによって作られ
ていますので、BACS システムにとって最も基本的な I/O(Input/Output) データも、プ
ロパティの組み合わせで、様々な I/O オブジェクトとしてモデル化されています。
I/O オブジェクトの中には、温度や湿度などの値を示すための「Analog Input」、警
報状態や空調機、ポンプの運転 /停止などの状態を示すための「Binary Input」、空調
機などの動作モードや風量状態などを示すための「Multi State Input」、電力量や熱量
などの使用量を示すための「Accmulator」、バルブの開度などを設定する「Analog O
utput」、空調機やポンプの運転 /停止を行う「Binary Output」、空調機などの動作モ
ードや風量制御を行う「Multi State Output」などがあります。
それでは、実際に空調などコントロールする際、どのようにオブジェクトやプロパ
ティを使用しているのでしょうか。
次ページからは、代表的なオブジェクトとそれを形成するプロパティを見ていきま
しょう。
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3. オブジェクトとプロパティ
・AI(Analog Input) オブジェクトと AO(Analog Output) オブジェクト
Analog Input オブジェクトは、室内温度や設定温度といったアナログ値の情報を監視
する場合に、Analog Output オブジェクトは、設定温度やバルブ開度の変更といった
アナログ値を制御する場合に使用されるオブジェクトです。
Analog Input、Analog Output オブジェクトのそれぞれ代表的なプロパティとその説
明を以下に記載します。
AI/AO オブジェクトの主なプロパティ
プロパティ 内容
Present Value Analog Input の場合:実際の室内温度や設定温度の値が入ります。
Analog Output の場合:この値で設定温度などを変更することができます。
Priority Array (AOのみ) この値により Present Value の値が決定されます。
データは 16 個の配列になっており、最も小さい配列番号の値が Present Value の値になります。
Status Flags この値で警報中 /故障中 /メンテナンス中などの現在の状態がわかります。
Reliability Present Value の値が信頼できるかどうかを示します。
この値がNo Fault Detected の場合、Present Value の値は正常値と判断できます。
Event State この値で正常 /上限値異常 /下限値異常 /故障などの警報状態がわかります。
Event Enable Event State が変化したときに Event 通告を行うかの設定を行います。
High Limit Present Value がこの値を超えると上限値異常状態となります。
Low Limit Present Value がこの値を下回ると下限値異常状態となります。
Limit Enable 設定した上限値や下限値で監視を行うかどうかの設定を行います。
False に設定した場合は、警報値 (High または Low Limit) を超過しても警報扱いになりません。
Time Delay Present Value が警報値を超えてから、警報と判断するまでの時間 ( 秒 ) を指定します。
Time Delay の時間内に Present Value が正常に戻った場合は、警報扱いになりません。
COV Increment 最後に COV通知した Present Value の値と現在の Present Value の値が、COV Increment で指
定した値よりも小さい場合は、COV 送信を行いません。
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3. オブジェクトとプロパティ
・BI(Binary Input) オブジェクトと BO(Binary Output) オブジェクト
Binary Input オブジェクトは、状態動作 (ON/OFF) や設備の異常状態 ( 正常 / 異常 )
など 2つの状態の情報を監視する場合に、Binary Output オブジェクトは、動作状態
(ON/OFF) の変更など、2つの状態の動作を制御する場合に使用されるオブジェクト
です。
Binary Input、Binary Output オブジェクトのそれぞれ代表的なプロパティとその説
明を以下に記載します。
BI/BO オブジェクトの主なプロパティ
プロパティ 内容
Binary Input の場合:ON/OFF や正常 / 異常など、設備の動作状態の値が入ります。
Present Value Binary Output の場合:この値で動作状態などを変更 ( 制御 ) することができます。
※BACnet では一般的にONや異常を Active、OFF や正常を Inactive と表現します。
Alarm Value (BIのみ) Present Value がこの値と同じになると警報状態となります。
Priority Array (BOのみ) この値により Present Value の値が決定されます。データは 16 個の配列になっており、最も小さい配列番号の値が Present Value の値になります。
Status Flags この値で警報中 /故障中 /メンテナンス中などの現在の状態がわかります。
Reliability Present Value の値が信頼できるかどうかを示します。
この値がNo Fault Detected の場合、Present Value の値は正常値と判断できます。
Event State この値で正常 /上限値異常 /下限値異常 /故障などの警報状態がわかります。
Event Enable Event State が変化したときに Event 通告を行うかの設定を行います。
設備の実際の状態が入ります。
Feedback Value Present Value(BO) に設定した値と Feedback Value の値が異なっていると、状態不一致と判断
され、警報状態となります。
Elapsed Active Time Present Value が Active 状態であった時の合計時間 ( 秒 ) が入ります。
Change Of State Count Present Value が変化した合計回数が入ります。
Change Of State Time Present Value が変化した日時を記録します。
DI または DOの入出力状態に対し、反転 / 非反転を設定します。
Polarity 一般的にはONや異常は Active、OFF や正常は Inactive で表しますが、反転設定をすることで
ONや異常を Inactive、OFF や正常を Active と表すことができます。
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3. オブジェクトとプロパティ
・MI(Multi State Input) オブジェクトとMO(Multi State Output) オブジェクト
Multi State Input オブジェクトは、空調機の動作モード ( 冷房 / 暖房 / 除湿 / 送風 ) や
風量設定 ( 弱 / 中 / 強 / 急 ) などの複数の状態監視を行う場合に、Multi State Output
オブジェクトは空調機への動作指令 ( 冷房 / 暖房 / 除湿 / 送風 ) や風量指令 ( 弱 / 中 /
強 / 急 ) の変更など、複数の状態制御を行う場合に使用されるオブジェクトです。
Multi State Input、Multi State Output オブジェクトのそれぞれ代表的なプロパティと
その説明を以下に記載します。
MI/MOオブジェクトの主なプロパティ
プロパティ 内容
Present Value 冷房 / 暖房 / 除湿 / 送風や弱 /中 / 強 / 急など動作モードや風量などの値が入ります。
Priority Array この値により Present Value の値が決定されます。
データは 16 個の配列になっており、最も小さい配列番号の値が Present Value の値になります。
Alarm Value (MIのみ) Present Value がこの値と同じになると警報状態となります。
Status Flags この値で警報中 /故障中 /メンテナンス中などの現在の状態がわかります。
Reliability Present Value の値が信頼できるかどうかを示します。
この値がNo Fault Detected の場合、Present Value の値は正常値と判断できます。
Event State この値で正常 /上限値異常 /下限値異常 /故障などの警報状態がわかります。
Event Enable Event State が変化したときに Event 通告を行うかの設定を行います。
設備の実際の状態が入ります。
Feedback Value Present Value(MO) に設定した値と Feedback Value の値が異なっていると、状態不一致と判断
され、警報状態となります。
Number Of States Present Value の最大値を指定します。
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3. オブジェクトとプロパティ
・ACC(Accumulator) オブジェクト
Accumulator オブジェクトは、電力量やガス・水の流量、熱量などの積算値を監視
する場合に使用されるオブジェクトです。
Accumulator オブジェクトの代表的なプロパティとその説明を以下に記載します。
ACCオブジェクトの主なプロパティ
プロパティ 内容
Present Value 電力量や熱量などの積算値が入ります。
※プリスケール処理がある場合は、処理後の値が入ります。
Pulse Rate Limit Monitoring Interval で指定した時間に受信したパルス量が入ります。
Limit Monitoring Interval の時間が経過すると 0に戻り、再度積算を始めます。
Limit Monitoring Interval Pulse Rate プロパティの値を決定するための監視時間 ( 秒 ) を指定します。
指定した秒数後に Pulse Rate の値が 0にリセットされます。
Status Flags この値で警報中 /故障中 /メンテナンス中などの現在の状態がわかります。
Reliability Present Value の値が信頼できるかどうかを示します。
この値がNo Fault Detected の場合、Present Value の値は正常値と判断できます。
Event State この値で正常 /上限値異常 /下限値異常 /故障などの警報状態がわかります。
Event Enable Event State が変化したときに Event 通告を行うかの設定を行います。
High Limit Present Value がこの値を超えると上限値異常状態となります。
Low Limit Present Value がこの値を下回ると下限値異常状態となります。
Limit Enable 設定した上限値や下限値で監視を行うかどうかの設定を行います。
False に設定した場合は、警報値 (High または Low Limit) を超過しても警報扱いになりません。
Pre Scale パルス入力値を変換するための係数で、その値は Present Value に反映されます。
Max Pres Value Present Value の最大値が入ります。
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3. オブジェクトとプロパティ
・SC(Schedule) オブジェクト
Schedule オブジェクトは、空調や照明のスケジュール運転を行う場合など、指定し
た日時を基に自動制御を行う時に使用するオブジェクトです。
Schedule オブジェクトの代表的なプロパティとその説明を以下に記載します。
SCオブジェクトの主なプロパティ
プロパティ 内容
Present Value 最後に実行したスケジュールの制御状態が入ります。
Weekly Schedule 月曜日から日曜日までの各曜日の定期スケジュールが入ります。
Index-1 が月曜日、2 が火曜日・・・・・・7 が日曜日となります。
Exception Schedule 例外スケジュールを指定します。
ここで指定された日はWeekly Schedule を使用せず、例外スケジュールで動作します。
List Of Object
Property Reference スケジュール制御する機器を登録します。
Reliability 指定されたスケジュールに矛盾がないかを示します。
この値がNo Fault Detected 以外の場合、指定されたスケジュールに誤りがあります。
Schedule Default 日替わり時にWeekly Schedule と Exception Schedule のどちらも設定されていなかった場合、
ここで設定した制御が日替わり時の 0:00 に実行されます。
自動制御スケジュールは 3つのプロパティで設定した内容で行われ、優先度の高い
方から Exception Schedule、Weekly Schedule、Schedule Default となっています。
Binary Output を例にして、各プロパティを以下の設定とした場合、どのような動作
になるか下記に表します。
<設定内容> Exception Schedule 7:00 Active、9:00 Null、18:00 Active、19:00 Inactive、20:00 Null
Weekly Schedule 8:00 Active、17:00 Inactive 設定スケジュール
Schedule Default Inactive 優先されるスケジュール
実際の BO動作
Active
Exception Schedule Inactive
Active
Weekly Schedule Inactive
Active
Schedule Default Inactive
Active
実行スケジュール Inactive
0:00 7:00 8:00 9:00 17:00 18:00 19:00 20:00 23:59
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3. オブジェクトとプロパティ
・CA(Calendar) オブジェクト
Calendar オブジェクトは、休日や祝日、その他特定日などの日付を設定します。
Schedule オブジェクトと合わせて、設備のスケジュール運転を行う場合に使用する
オブジェクトです。
・TL(Trend Log) オブジェクト
Trend Log オブジェクトは、計測データのロギングを行う場合に使用するオブジェク
トです。デマンドデータのロギングなどに活用されます。
・NC(Notification Class) オブジェクト
Notification Class オブジェクトは、警報状態を表す Event State プロパティが変化し
た時に、イベント送信する宛先を指定するオブジェクトです。
・DV(Device) オブジェクト
Device オブジェクトは、どの BACnet デバイスにも必ず 1つだけ存在し、そのデバ
イスの状態や特徴を示すオブジェクトです。このオブジェクトにより、デバイスが
サポートする範囲を明確に把握することができます。ネットワーク上で個々のデバ
イスや 18 頁から記載する様々な BACnet サービスが可視化されることで、システム
全体の可視化につながります。
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3. オブジェクトとプロパティ
・独自プロパティ
それぞれのオブジェクトごとに定義されるプロパティに「Profile Name」というもの
が存在しています。これにより、独自プロパティの拡張や動作の追加 /変更定義を行
うことができます。例えば、特定システムにおける特殊動作や地域ごとの規制などに
対応するための機能を拡張することができます。
弊社の BACnet MS/TP 対応リモート I/O「WBI シリーズ」においても、Binary Output
オブジェクトやDevice オブジェクトで独自プロパティを搭載していますので、ご紹
介します。
BOオブジェクトにおける弊社独自のプロパティ
プロパティ 内容
Heavy Equip Delay 起動ディレイ時間 ( 秒 ) を指定します。
発停 BOにより制御される機器の同時起動を回避し、負荷を分散させるための機能です。
Hed Controller 上位システムでの管理に用いるための電源系統番号を表します。
Restore Command
Priority 復電時に機器にバックアップされた Priority Array データで復旧させるかを指定します。
Ignore Relinquish
Default Relinquish Default の値によって出力を行うかを指定します。
Local Control Write Property を受け付けるかを指定します。
Time Of Oneshot Binary Output のワンショット出力時間 ( 秒 ) を設定します。
Device オブジェクトにおける弊社独自のプロパティ
プロパティ 内容
T Useage Timeout トークンを送信したデバイスは、この値で示した時間内に割り込みが発生しない場合、トークン
回覧が失敗したとみなし、N Retry Token で指定された回数までトークンを再送します。
N Retry Token トークンのリトライ回数を指定します。
再送後は後続デバイス検出、トークン回覧へと移行します。
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3. オブジェクトとプロパティ
・電気設備関連オブジェクト
日本の BACnet によるビルディングオートメーションは、ASHRAE の仕様をもとに
電気設備学会が日本向けに拡張した IEIEJ-G-0006 の運用が主流となっています。
IEIEJ-G-0006 では、国内の BACS 運用に必要とされる電気設備関連オブジェクトと
して、Electric Demand Monitoring( 電力デマンド監視 )、Electric Demand Control
( 電力デマンド制御 )、Generator Load Control( 発電機負荷制御 ) のオブジェクトが
定義されています。その中の Electric Demand Monitoring(EDM) オブジェクトにつ
いて、代表的なプロパティとその説明を以下に記載します。
EDMオブジェクトの主なプロパティ
プロパティ 内容
Present Value 電力デマンド監視状態を示します。復旧 /警報 1/ 警報 2などの警報状態がわかります。
Contract Receiving
Power 電力会社との契約電力を 60 分換算の電力量の値として表します。
Start Time OF
Monitoring 30 分周期のデマンド監視の開始時刻を指定します。
Target Value Of Power 目標電力を 60 分換算の電力量の値として表します。
Consumed WH In This Term がこの値を超過するとデマンド警報 1が発生します。
Alarm Value Of Power 警報電力を 60 分換算の電力量の値として表します。
Consumed WH In This Term がこの値を超過するとデマンド警報 2が発生します。
Elapsed Time 30 分周期のデマンド監視開始後の経過時間 ( 分 ) を表します。
Consumed WH 今回のデマンド監視周期での使用電力量を表します。
In This Term 1 分毎のデータで構成され、1 分の増分地とデータ状態がわかります。
Estimated Power 今回のデマンド監視周期における 30 分時点の予測電力を 60 分換算値で表します。
Adjust Power 予測電力と警報電力の差分値と経過時間から、制御が必要な調整電力を表します。
Consumed WH 前回のデマンド監視周期での使用電力量を表します。
In Last Term 1 分毎のデータで構成され、1 分の増分地とデータ状態がわかります。
List Of Pulse デマンド監視で参照する電力パルスのカウント値を蓄積している、デバイス・オブジェクト・
Conter Reference プロパティを表します。
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4.BACnet サービス
・BACnet サービス
BACnet には様々なサービスが用意されています。サービスとは、ビルディングオー
トメーションシステムの動作を機能ごとに抽象化したもので、サービスを使用してオ
ブジェクトやプロパティにアクセスしたり、デバイスの監視を行うことが可能です。
サービスの要求には、確認付きサービス要求 (BACnet-Confirmed Request-PD) と確認
無しサービス要求 (BACnet-Unconfirmed Request-PDU) があり、通信の信頼性が異な
ります。
確認付きサービス要求は、送信先のデバイスからの応答が必要なサービスで、特定の
デバイスにユニキャスト方式でメッセージを送信します。要求を受信したデバイスで
は、データを返す必要があればデータを送信し、必要がないサービスの場合は、要求
サービスが正常に終了した時に確認付きサービス応答 (BACnet-Simple ACK-PDU)
が返されます。
一方、確認なしサービス要求は、送信先のデバイスからの応答が必ずしも必要でない
サービスであり、ブロー 主な BACnet サービス
ドキャスト方式やユニキ 分類 名称 確認付き 確認無し
Confirmed Text Message ○
ャスト方式でメッセ Unconfirmed Text Message ○
リモート装置管理
ージを送信します。 サービス Time Synchronization ○
Who-Has、 I-Have ○
BACS 機能の重要度に応 Who-Is、 I-Am ○
Ready Property ○
じてこれらのサービスを Ready Property Conditional ○
オブジェクトアクセス
サービス Ready Property Multiple ○
使い分けることで、より Write Property ○
信頼性の高い BACS 機能 Write Property Multiple ○
Confirmed COV Notification ○
の実現が可能になります。 Unconfirmed COV Notification ○
アラームイベント
サービス Subscribe COV Notification ○
主なサービスと確認の有 Confirmed Evend Notification ○
無に関しては右表をご確 Unconfirmed Evend Notification ○
ファイルアクセス Atomic Read File ○
認ください。 サービス Atomic Write File ○
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4.BACnet サービス
前ページで記載した主な BACnet サービスについて、各分類ごとに少し詳しく紹介し
ていきたいと思います。
・リモート装置管理サービス
●Who-Is / I-Am
ネットワーク上のデバイス監視のために使用されるサービスです。システムの上位
装置よりブロードキャスト送信された、Who-Is を受信したデバイスは I-Amで自身
のデバイス情報を応答します。一定周期でWho-Is を送信し、応答がないデバイス
を異常と判断します。
●Who-Has / I-Have
ネットワーク上の特定オブジェクトを有するデバイス監視のために使用されるサー
ビスです。Who-Has がブロードキャスト送信され、該当オブジェクトを有するデ
バイスがWho-Has を受信すると、I-Have で自身のデバイス、オブジェクト情報を
応答します。
●Time Synchronization
全デバイスの時刻合わせをするために使用されるサービスです。
Time Synchronization を受信したデバイスは自身が持つ時計時刻を変更します。
●Reinitialize Device
ネットワークを通じて特定デバイスを再起動させるためのサービスです。
Reinitialize Device を受信したデバイスは電源再投入と同様の起動処理を行います。
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4.BACnet サービス
・オブジェクトアクセスサービス
●Read Property / Read Property Multiple
プロパティの値を読み込んで状態監視などに使用されるサービスです。
Read Property は 1 つのプロパティ値を読み出し、Read Property Multiple は複数の
プロパティ値を同時に読み出すことができます。
●Write Property / Write Property Multiple
プロパティの値を書き込んで設備の制御・コントロールなどに使用されるサービス
です。Write Property は 1 つのプロパティ値を書き込み、Write Property Multiple
は複数のプロパティ値を同時に書き込むことができます。
●Read Range
複数データが格納されたプロパティに対し、範囲を指定して値を呼び出すサービス
です。Trend Log オブジェクトで蓄積したデータの収集などに使用されます。
●Add List Element / Remove List Element
複数データが格納されたリスト型のプロパティに対して、データを追加したり削除
したりするためのサービスです。主に Calender オブジェクトで設定する日付データ
の追加や削除などに使用されます。
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